気中パーティクルカウンタの主な使用分野
気中パーティクルカウンタはクリーンルーム、エアーシャワー、ミニエンバイロンメント(FOUP:front opening unified podなど)などの微粒子管理やフィルタ性能試験、HDD(hard disc drive)部品の発塵試験など、空気中に浮遊する微粒子数を計測します。 クリーンルームは半導体製造やFPD(flat-panel display)製造など工業分野で用いるICR(industrial clean room)と医薬品製造、食品製造、病院・手術室などで用いるBCR(biological clean room)に分けられ、それぞれの産業分野において管理粒径が異なります。
清浄度クラスとは
清浄度のクラス表示は、ISO 14644-1により定められています。清浄度クラスと測定粒径ごとの上限濃度は表1のように定められています。古くから用いられてきた「クラス100」、「クラス10000」という表現は、米国の規格であるFed-Std-209Eに由来しており、0.5 μm以上の粒子が1 cf(立方フィート:約28.3 L)中に100個を上限とするクリーンルームをクラス100としていました。しかしこの規格はISOの制定を受けて2001年11月に廃止されました。表1の右側にISOの清浄度クラスに対応したFed-Std-209Eのクラスを示します。バイオテクノロジー、医療、製薬、食品工業でも異物混入、感染を防ぐ目的からクリーンルームを使用し、管理しています。クリーンルームの管理には、粒子数による上限濃度の管理だけでなく微生物の管理も必要になってきます。PIC/S※1、GMP※2、JP※3、USP※4などで浮遊菌の濃度が規定されており、粒子の上限濃度はISO 14644-1などを参考にしています。
- Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)
- Good manufacturing practice(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)
- Japanese Pharmacopoeia(日本薬局方)
- United States Pharmacopeia(米国薬局方)
【表1】清浄度クラスと測定粒径ごとの上限濃度
| 清浄度 クラスN |
上限濃度(個/m³) | Fed-Std- 209E | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 測定粒径 | |||||||
| 0.1 μm | 0.2 μm | 0.3 μm | 0.5 μm | 1 μm | 5 μm | ||
| クラス 1 | 10 | - | - | - | - | - | - |
| クラス 2 | 100 | 24 | 10 | - | - | - | - |
| クラス 3 | 1,000 | 237 | 102 | 35 | - | - | 1 |
| クラス 4 | 10,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | - | 10 |
| クラス 5 | 100,000 | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 832 | - | 100 |
| クラス 6 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 8,320 | 293 | 1,000 |
| クラス 7 | - | - | - | 352,000 | 83,200 | 2,930 | 10,000 |
| クラス 8 | - | - | - | 3,520,000 | 832,000 | 29,300 | 100,000 |
| クラス 9 | - | - | - | 35,200,000 | 8,320,000 | 293,000 | - |
【表2】クリーンルームの評価方法
| 項目 | 通常の評価方法 | 逐次サンプリング評価方法 |
|---|---|---|
| 測定対象空間 | クリーンルームまたは粒子環境が制御された空間 | |
| 測定対象粒子径 | 0.1から5 μmの内、1粒径または複数の粒径 | |
| 清浄度クラスの表示 | 表1による | |
| 評価方法 | 各測定点の粒子濃度が上限濃度を超えなければ清浄度クラスを満足すると判定。 | 逐次サンプリング評価適合線図で適合領域に入れば測定点は清浄度クラスを満足すると判定。 |
| 評価対象の清浄度クラス | 清浄度クラス1~9 | 清浄度クラス1~4 |
| 測定器 | 光散乱式気中粒子計数器 | |
| サンプリング容量 | 評価対象の清浄度クラスの上限粒子数は20個となる容量または、測定時間1分または容量2 Lの内の大きい容量とする。 | |
| サンプリング位置 | 原則として作業台の高さ | |
【表3】測定点の数
| クリーンルームの面積A(㎡) | 測定点数(NL) | クリーンルームの面積A(㎡) | 測定点数(NL) |
|---|---|---|---|
| 2 | 1 | 76 | 15 |
| 4 | 2 | 104 | 16 |
| 6 | 3 | 108 | 17 |
| 8 | 4 | 116 | 18 |
| 10 | 5 | 148 | 19 |
| 24 | 6 | 156 | 20 |
| 28 | 7 | 192 | 21 |
| 32 | 8 | 232 | 22 |
| 36 | 9 | 276 | 23 |
| 52 | 10 | 352 | 24 |
| 56 | 11 | 436 | 25 |
| 64 | 12 | 636 | 26 |
| 68 | 13 | 1,000 | 27 |
| 72 | 14 | - | - |
ISO 14644-1:2015の主な変更点
- 各測定粒径における上限濃度を超えていないか判断するための値が、測定点全体の平均値から各測定点の平均値に変更
- 上記表3に基づき測定点数を決定
- Class5における5 μm粒子の上限濃度を削除
- 測定点数が2~9か所の場合に適用されていた95%上限信頼限界の判定基準を削除
- 測定回数の指定を削除
- ISO 21501-4に基づく校正周期を記載(1年以内が望ましい)
無菌医薬品製造区域※の空気清浄度
- 無菌医薬品製造区域とは、取り扱う容器、原料及び中間製品が微生物及び微粒子に汚染されることを防止するように維持・管理された区域のことです。無菌医薬品製造区域の空気清浄度を管理するため、各国で基準が設けられています。
JP(日本薬局方)
| 空気の清浄度レベル | 最大許容粒子数(個/m²) | 空中微生物(cfu/m²) | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 非作業時0.5 μm | 非作業時5 μm | 作業時0.5 μm | 作業時5 μm | ||
| グレード A | 3,520 | 20 | 3,520 | 20 | <1 |
| グレード B | 3,520 | 29 | 352,000 | 2,900 | 10 |
| グレード C | 352,000 | 2,900 | 3,520,000 | 29,000 | 100 |
| グレード D | 3,520,000 | 29,000 | - | - | 200 |
FDA(米国食品医薬品局)
| 最大許容粒子数(個/m³) | 最大許容粒子数(個/m³) 非作業時0.5 μm |
空中微生物(cfu/m³) |
|---|---|---|
| 100 | 3,520 | <1 |
| 1,000 | 35,200 | 7 |
| 10,000 | 352,000 | 10 |
| 100,000 | 3,520,000 | 100 |
EU-GMP(欧州薬局方)
| 空気の清浄度 レベル |
最大許容粒子数(個/m³) | 空中微生物 (cfu/m³) |
|||
|---|---|---|---|---|---|
| 非作業時0.5 μm | 非作業時5 μm | 作業時0.5 μm | 作業時5 μm | ||
| グレード A | 3,520 | 20 | 3,520 | 20 | <1 |
| グレード B | 3,520 | 29 | 352,000 | 2,900 | 10 |
| グレード C | 352,000 | 2,900 | 3,520,000 | 29,000 | 100 |
| グレード D | 3,520,000 | 29,000 | - | - | 200 |
空中浮遊菌と浮遊粒子の関係 NASA NHB 5340.2
| 清浄域のクラス | 空中微生物(cfu/m³) | 落下菌(cfu/m²週) |
|---|---|---|
| 100 | 3.5 | 12,900 |
| 10,000 | 18 | 64,600 |
| 100,000 | 88 | 323,000 |
気中パーティクルカウンタに関する規格
「光散乱式気中パーティクルカウンタ」(抜粋)
ISO 21501- 4:2018 Light Scattering Airborne Particle Counter for clean spaces
JIS B 9921:2010 光散乱式気中粒子計数器 — 校正方法及び検証方法
- 計数効率
- ある粒径およびその個数が既知である粒子をパーティクルカウンタに導入したときパーティクルカウンタが計数する割合。最小可測粒径において30~70%、最小可測粒径の1.5~2倍の粒径において90~110%。
- 偽計数
- 本来、試料中に粒子がないのに計測するという現象。電気的または光学的なノイズやセンサ内部の残留粒子が原因で生じる。1立方メートル当たり何個の偽計数が発生するかを製造業者が開示する。
- 流量精度
- パーティクルカウンタに導入する試料流体の流量であり、体積流量で表す。設定した流量に対し、誤差は±5%以内でなければならない。
- 最大粒子個数濃度
- パーティクルカウンタは粒子濃度が低濃度の場合比較的有効であるが、高濃度の場合は複数個の粒子が光ビームに同時に存在する確率が高くなる。この場合、粒子を1個として検出するため、実際の粒子数よりも少なく表示される。これを同時通過損失といい、最大粒子個数濃度における同時通過損失は10%以下でなければならない。
- 校正周期
- 1年以内